コイルガンの作り方シリーズ
「コイルガンの作り方~磁気原理編①~」
「コイルガンの作り方~磁気原理編②~」
「コイルガンの作り方~回路編①電子部品の説明~」←今ここ
「コイルガンの作り方~回路編②オペアンプについて~」
「コイルガンの作り方~回路編③矩形波の生成~」
「コイルガンの作り方~回路編④回路設計~」
「コイルガンの作り方~回路編⑤組み立て~」
「コイルガンの作り方~完成編~」
参考「どのくらいの電圧、電流で死ぬの?」
参考「1万5000円で買えるオシロスコープ」
「コイルガンの作り方~磁気原理編①~」
「コイルガンの作り方~磁気原理編②~」
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参考「どのくらいの電圧、電流で死ぬの?」
参考「1万5000円で買えるオシロスコープ」
前回まではコイルガンがどうやって物体を飛ばすか、私なりの考え方を書きました。今回はどういった回路でコイルガンが動くか記事にしていきたいと思います。ここでは、IC555を用いないDC-DC昇圧回路についての説明をします。何でこの方式かって?昔、オペパンプのコンパレータ回路を授業で習ったので、これで作りたかっただけです(笑)
今回作成するコイルガンで重要になる電子回路は
・トランジスタのスイッチング回路
・オペアンプを用いたコンパレータ回路
・DC-DC昇圧回路
の3種類が挙げられます。ってかこの3種類を合体させただけでコイルガン作れます!!
...なんですが、どうしてこの動作をするのかを説明するためには、使用する電子部品がどういったものなのかを理解する必要があります。
なのでまずは簡単に電子部品の説明から入ります。
・ダイオード
・ツェナーダイオード
・発光ダイオード
・可変抵抗
・トランジスタ
・サイリスタ
・コンデンサ
・3端子レギュレータ
今回はこちらの8種類の使用した電子部品の説明だけしますね。
ダイオード
詳しくは「こちら」ダイオードとは何か、一言で言えば「電流の向きをそろえるやつ」です!わっけわからん人は下の図2を見てください。
図2 ダイオード回路図
このD₁って書かれた記号がダイオードを示します。三角のやつです。んで、「電流の向きをそろえるやつ」っていう意味が、この回路の場合では「a→bの向きにのみ電流を流す」って意味です。はい、これだけです。これがダイオードです(笑)
もう少しだけ詳しく言うと、a→bの向きにのみ電流を流すとき約0.6 Vくらい電圧降下します。それを順方向電圧といいます。また、メチャメチャ高い電圧をb→aの方向に印加(b→aの向きに電流を流そうとする電圧)すると電流流れちゃいます(笑)この時の電圧を逆方向電圧といいます。
まぁ、寂しいんで実験しますね。
・端子b-c間の電圧をデジタルテスタで測定しながら直流電源電圧V₀を変化させ抵抗(2 kΩ)の両端電圧VRを測定する
・抵抗の電圧VRよりダイオードの電圧VDと電流値IDを算出する
この実験結果を表1に示します。
表1 ダイオードの実験結果
表だけだと分かりずらいので、図も書きます。
図3 ダイオード電圧と電流の関係
図を見ればわかりやすいのですが、ダイオード電圧が大体0.6 Vの時(順方向電圧)、急に電流が流れるようになってるでしょ?これがa→bの方向に電流が流れた時です。一方、ダイオード電圧がマイナスの時は電流が流れていません。
「a→bの向きにのみ電流を流す」っていうことを表しているのがわかります!!
一方、この実験では確認できませんでしたが、メチャメチャマイナスの電圧を印加するといつか図4のように、反対側の電流が流れ出します。いつ流れ出すかはわかりません、流れた時はぶっ壊れた時なんで(笑)
図4 ダイオード逆方向電圧の図
ちなみに順方向で0.6 V電圧降下する理由はこの部品が半導体で作られていることに起因しています。
詳しくは「こちら」
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ツェナーダイオード
詳しくは「こちら」ツェナーダイオードとは…ダイオードとついてるだけに、上記の「ダイオードと同じような特性」を示します。違う点それは「逆方向電圧が低い」ってこと!!
図6に示しますね。図3を流用しちゃうんですが、こんな感じで普通のダイオードと比べて低い逆方向電圧で電流が上がれ始めます。
図6 ツェナーダイオードの電圧と電流の関係
ちなみに、逆方向に電流が流れた時は壊れていませんよ?こんな特性になるように作られた素子です。では、こいつがあると何の得があるんでしょうか?
図2のダイオードがツェナーダイオードに変わった回路を考えてください。
こんな感じ。*ダイオードの向きが逆になってるので気を付けてね。
この時のツェナーダイオードの逆方向電圧は図6に示した、約5.5 Vとしましょう。その時、電源から電圧を10 V印加します。
すると…ダイオードで約5.5 V電圧降下して抵抗Rに約4.5 V印加されます!!
意味わかりましたか?電源から来た電圧をツェナーダイオードの逆方向電圧分だけ電圧降下して、その先の回路に印加することが出来るのです!この時の逆方向電圧は素子によって様々な種類があります。
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発光ダイオード
発光するダイオードです。ハイ終わり(笑)
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可変抵抗
色んな種類がありますが、今回使用したのは一番安かったこちらです。可変抵抗とは名前の通り「抵抗値を可変できる抵抗」になります。どうやって可変するかって?下の図を見てください。
図10 可変抵抗の構造図
この図10で示したように、可変抵抗からはA、B、Cと足が3本生えています。その足のうちBに位置する足が内部でスライドすることで抵抗値を変更することが出来ます。AからCまでの抵抗値をBで途中から分断するイメージですかね。
更にAカーブ、Bカーブ、Cカーブと言う、特性に種類があるんですが、ここでは割愛しちゃいます。
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トランジスタ
トランジスタとは「信号を増幅」したり、「スイッチON、OFFの役割」を果たす電子部品です。
ここでは簡略化するためにエミッタ接地回路のみの説明をします。図12にエミッタ接地回路を示します。
図12 エミッタ接地回路
図12のまるで囲ってある中心部にある記号がトランジスタの記号になります。さてさて、これでさっき言った、「信号を増幅」「スイッチON、OFFの役割」の説明をします。という事で実験しました。
・直流電源VBの値を変えて抵抗RBの両端電圧VRBをテスタで測定しベース電流IBをIB=0,25,50,75,100,125 μAに変更しそれぞれの電流でVCCを変化させていく。
・直流電源VCCの値を測定しながら1~18(V)まで1Vづつ変化させていく。この時の抵抗RCの両端電圧VRCを測定する。
・VCC=VCE+VRCの関係よりVCEの値を計算する。また抵抗の値からコレクタ電流ICを算出する。
この実験の結果を表2に示します。
表2トランジスタの静特性実験の結果
これのICVCEの関係を示した図を図13にしまします。
図13 ICVCEの関係を示した図
この図で右肩上がり部分を飽和領域、真横に伸びている部分を活性領域と言います。この後に書く図で分かるようになるのですが、飽和領域ではトランジスタが電圧増幅を十分に行えません。
まだ意味わからないと思うので、この特性を使ってさらに図を書き足します。それで完成した図を図14に示します。
図14 トランジスタを用いた時の入出力の関係
この図ではこの緑で示している部分は電流ICとIBの関係を示しています。実験で得られた特性です。
この赤で示している部分は、図12の回路図で示す、VBのとこらから入力する、仮想で考えた信号波形です。
この青で示した部分は、仮想入力に対して得られた、仮想出力波形を示しています。
ここで作図したように、入力した波形に対して増幅された形で、信号が出力されます。しかし気になることが…それが①’と③’の波形が入力波形に対して、歪になっていることです。これが「信号増幅の限界」「スイッチON、OFFの役割」を示しています。
・「信号増幅の限界」
③の入力波形は図13中の飽和領域に差し掛かっているのがわかると思います。この飽和領域に差しかかると、トランジスタは電圧を増幅できなくなってしまい、③’のようないびつな形になってしまいます。
・「スイッチON、OFFの役割」
①の入力波形は、図13中の活性領域に差し掛かっているのがわかると思います。しかし、電流ICとIBの関係よりわかるように、入力波形に対いて一部分の電流を流すことが出来ません、よって①’に示したような、半分切れたような波形になります。この特性をスイッチとして用いることが出来ます。というのも、もう一度この回路、図12のエミッタ接地回路を思い出してください。この回路はVBの電圧によって、ICが流れるかどうか制御しています。
これ、完璧にスイッチですね!!
一応、上の説明は仮想での説明となるので、本当にそうなるか①②③の信号をVBの位置から入力してみましょう。
実験方法はこちら
・ファンクションジェネレータを操作し振幅Vm=100mV周波数1kHzオフセット電圧VO=0.9Vの正弦波形をオシロスコープで観察しながら出力する。
・上記波形のオフセット電圧を0.6Vおよび1.1Vに変更してコレクターエミッタ間の電圧VCEをそれぞれオシロスコープによって観察する。
この結果がこちら。
図18 入力波形
図19 出力波形
位相がちょっとずれてるのは許してください、保存方法ミスりました(笑)
実測結果よりわかるように、仮定で作図した波形と同じ形になりました。ちゃんと増幅もされていますね!
これがトランジスタです!!この回路以外にもエミッタフォロア回路ってのもありますが、ここでは割愛します。
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サイリスタ
サイリスタってのは「ダイオードみたいなやつ」です。下に記号を示します。
この記号を見てわかるようにダイオードに1本よく分からない足がくっ付いた物になります。こいつはG(Gate)に信号を送るとC(Cathode)-A(Anode)間を導通させるという能力を持ちます。これスイッチとして使えますね!!
スイッチとして使えるのですがそれならトランジスタでもいいじゃないか思いますね?こいつにはトランジスタとは大きく違う特徴があります。それが「一度電流を流したら、通過する電流が0になるまでずっと導通状態になる」といった特徴があります。また、調べた時の体感なんですが、サイリスタは耐電流の大きなものが沢山あると思います。
このスイッチを使う部分が、ものすごく大きな電流がながれる部分になります。耐電流が大きな部品じゃないと、コイルガン1回発射しただけで壊れるんでこいつを使います。
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コンデンサ
コンデンサは記号で書くとこれです。
こいつはみんな見たことあるんじゃないですか?高校の物理でも習うと思います。こいつは電気を蓄えたり放出する電子部品です。「電圧を安定させたり、ノイズをとりのぞいたりする」ことが出来ます。今回のコイルガンではコンデンサの充放電を用いて矩形波を生成します。充電、放電は
・$V(t)=V_{0}(1-e^{\frac{-t}{RC}})$ (1)
・$V(t)=V_{0}e^{\frac{-t}{RC}}$ (2)
の2つの式で表せるんですが、ここでは式だけ書いときますね。
参考「どのくらいの電圧、電流で死ぬの?」
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3端子レギュレータ
3端子レギュレータとは、「入力した電圧に対して任意の電圧に降圧して出力できる電子部品」です。例えば20 V→10 Vのような感じで、電圧を変えられます。
ただ注意点があります。それが
・入力以下の電圧しか出力できない
・入出力の電圧に差がありすぎると、とんでもなく発熱する
という点です。特に発熱に関しては、肉焼けるほど熱くなったりするときあるんで、通常はヒートシンクを付けて使用します。
3端子レギュレータには固定三端子レギュレータと可変三端子レギュレータの二種類あります。名前の通り、「出力できる電圧が決まっているもの」と「出力できる電圧を可変できるもの」の特徴があります。データシート見ると分かるんですが、固定三端子レギュレータと可変三端子レギュレータでは、可変三端子レギュレータの方が基本的に低ノイズです。低ノイズ言っても固定三端子レギュレータのノイズは50 µV程度、可変三端子レギュレータのノイズは10 µV程度なんで、めったなことが無い限り気にしなくても大丈夫です。(私は研究で、このノイズの差に苦しめられた事がありました(笑))
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今回はここまで、電子部品の簡単な説明しかしてませんが許してください(笑)
電子部品の詳しい説明はこちら
・ダイオード 詳しくは「こちら」
以降作成中…
次回「コイルガンの作り方~回路編②オペアンプについて~」
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