皆さん、よく「感電死」とか「雷に打たれて生還した人」とかのニュースを聞いたことはありませんか?そんな時私はよく、「どのくらいの電気(ここでは正しい表現を避けます)で人は死ぬのだろう」と思ってました。私以外にも悩む人はたくさんいると思います。実際調べてみても、「○○ Vで人は死んでしまう」とか「○○ Aで人は死んでしまう」だとか統一された情報が出てきません。某科学館で見た時は50 mAの電流が体に流れたらヤバいと書いてありました。

しかし、よく考えてみてください、私たちは生活をするうえで静電気と言うものをくっらっているではありませんか、あいつの電圧は大体3 kV以上と言われています。それでも死にませんよね?では変電所などにある3 kVの電源を触って死なないか?
いえ、死んでしまいます。
「死なないのは電流が小さいからだよ」と言う人もいますが、静電気で食らう電圧は3 kV以上であり、人の内部抵抗は乾燥状態で最もよくて5 kΩ程なので0.6 A以上の電流が流れてることになります。あれ?50 mA(=0.05 A)でヤバいのではないの?(ここで表皮効果などは考えずに純粋に体を通って地面に電流が流れた場合を考えています。)

てか、そもそも電圧は「微小な電荷qをB地点からA地点まで移動させるのに有する仕事量である電位差の事」であり、電流は「単位時間あたりにどれだけの電荷が通ったか」と言うものを表したものです。全く違うものを指しています。

いろんな話もあり、頭が混乱してしまい、結局わからずじまい…それで過ごしてきました。しかしこの前、ヤバいかヤバくないかの一つの判断基準になりそうな考え方を思いついたので、記事にします。


導入が長くなりましたが、結論から申し上げますと、
「どれだけのエネルギーが体に入ったか」
が重要になると私は考えます。


ここではエネルギーの保有量をイメージしやすいようにコンデンサに充電して感電した時の場合を考えます。
まずは予備知識として中学物理でもおなじみの公式(E:エネルギー、m:質量、g:重力加速度、h:高さ)
E=mgh[J]


ここは高校物理?(τ:時定数、R:抵抗値、C:静電容量、V:電圧)
コンデンサの公式(詳しくは後日書きます)
τ=RC[s]
E=CV²/2[J]


の3種類を使います。時定数τの事だけは説明しておきます。
コンデンサに電気をためた後、放電させる際、電圧の時間変化は下図のような曲線を描きます。その時の電圧が充電時と比べ約63.2 %になった時の時間を時定数と言います。
houdenn


この図では5 kΩの抵抗と0.1 µFのコンデンサに100 V充電した際の放電の軌跡を示しています。計算通り0.5 msで大体63.2 %になっているのがわかります。

予備知識もぶち込んだところで「どれだけのエネルギーが入ってきたか」に移ります。先ほど時定数の説明で使ったコンデンサを例に例えましょう。このコンデンサに蓄えられていたエネルギーは公式より0.5 mJとなります。こいつの63.2 %つまり、0.316 mJが0.5 msで体内に入っきます。

ですがこれだけでは「だから?」となるので、わかりやすくします。

0.5 msはめちゃめちゃ短い時間です。なので、物が落ちてきたときに、当たるのにかかる時間をこの0.5 msとします。すると、このエネルギーは
「どれだけの高さから、どれだけの重りが降ってきたか」
と同等に考えることが出来るのです(笑)速攻で計算できるように重力加速度を10 m/s²にします。あら不思議、このコンデンサに感電すると「1 kgの重りが約0.03 mm上から降ってきた」時と同等と考えることが出来ます。これはさすがに死にはしませんね(笑)

では、充電された電圧が1 kVだったら?0.5 msで31.6 mJのエネルギーが体に入ってくると考えられるため「1 kgの重りが約3 mm上から降ってきた」時と同等と考えることが出来ます。これも死にはしないでしょう(笑)

では、充電された電圧が10 kVだったら?0.5 msで3.16 Jのエネルギーが体に入ってくると考えられるため「1 kgの重りが約30 cm上から降ってきた」時と同等と考えることが出来ます。これはケガしそうですね。

と言うように、体に入ってくるエネルギーを上から降ってくる重りと考えると、大体でこれは感電したらやばいかどうかの判断が出来ると思います。事実、私の知人に誤って10 kVの電源に触ってしまい感電した際、「心臓が痛かった」で済んだ人が居ます(笑)これは電圧が印加されている時間が短く、体に入ってくるエネルギーが小さかったからだと考えられます。

これは日常生活における感電でも、同じように考えることが出来ます。例えはバイクに12 Vのバッテリーがあるでしょう。あいつに触ってしまった時、0.1 sで離したとします。人の抵抗を5 kΩとすると0.0288 Wの仕事率が計算できます。0.1 sで手を放しているので2.88 mJのエネルギーが体に入ってきます。これは「1 kgの重りが約3 mm上から降ってきた」時と同等と考えることが出来ます。これでは死にはしないでしょう。

まとめると
・人が死ぬ電圧、電流は決まっていない
・重要なのはどれだけのエネルギーが体に入ってきたか

です。

ここでの考え方は感電したらどんな感じかを、かなり大雑把に考える方法になります。計算したから大丈夫!!で、触ってヤバくなっても、私を責めないでくださいね(笑)

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